PELD/経皮的内視鏡下腰椎間板ヘルニア摘出術

経皮的内視鏡下腰椎間板摘出術(以下PELD)は新しい椎間板ヘルニアの手術として注目を集めています。PELDは1975年にその施術につながる技法が考案され、1980年代になると病変部位を観察しながら摘出するという発想も出てきました。こうした新たな発想とテクノロジーの進歩とがあいまって1999年には現在とほぼ同じ形で施術方法が確立されました。

従来行われてきた椎間板ヘルニア摘出術では全身麻酔下で腰部を2~6cm程度の切開をするため入院期間もリハビリを含め8~14日間程度が必要とされていましたが、新たな手法であるPELDでは非常に径の細い内視鏡を用いた施術を行うため正常な組織を壊す可能性が低く、内視鏡画像を大型モニターで拡大することにより安全かつ確実なヘルニアの除去が可能となりました。

そのため切開部分が約8mm程度と小さく抜糸も不要となり、局部麻酔で行うことにより術中であっても会話が可能なため患者さんからのフィードバックが正確に捉えられるという利点も生まれています。
手術は20~60分間程度で終了し、当日から歩行が可能となります。

術後MRIでヘルニア切除の確認が行われ、一晩様子をみたのち翌日には退院となりますが、術後の無理は禁物です。
3ヶ月ほどは腰椎軟性コルセットを着用し、身体をねじる動作や重労働は行わないように心がけます。喫煙も腰に悪影響があると言われているためできるだけ避けた方が良いでしょう。

その後は半年間隔の外来での受診を経て問題がなければ治療が完了します。
PELDはその安全性から患者さんからの満足度も高く、今後の椎間板ヘルニア手術の中核をなす治療法として期待されています。

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