鼓膜形成術

慢性中耳炎を患った人、あるいは外傷をうけた人のなかには、鼓膜に穴が開いたままふさがらない人がいます。鼓膜形成術は、そういった人の聞こえを良くしたり、中耳を炎症から守ることを目的として、人工的に鼓膜の穴をふさいで、新しい鼓膜を再生させるという1988年に開発された画期的な手術方法です。

鼓膜形成術は、簡便で成功率も高い手術ですが、すべての穿孔性中耳炎に適応となるわけではありません。鼓室に異常がなく、鼓膜に開いた穴をふさげば聴力に改善が見込める場合に行います。
鼓膜形成術は、一般に耳の手術として行われる鼓室形成術の最も簡易的な手法で、基本的には耳の穴をのぞきながら鼓膜にのみメスを加えます。

手術方法は、耳の後ろの皮下から、1~2㎝程度の組織を採り、これを代用鼓膜にして残っている鼓膜に人体に使用可能な接着剤で貼り付けることで穴を閉鎖します。
小さい子供の場合には全身麻酔をかけることもありますが、通常は耳の穴の壁に麻酔を打つ局所麻酔のみで行うことができます。

手術時の出血は極めて少量で、傷もほとんど目立たず、痛みも軽度で、うまくいけば5分、長くても30分程度で終了する手術なので、痛みや体全体への影響が少なくてすむのが、鼓膜形成術の大きなメリットとなっています。
また、一回の手術で穴がふさがらなかった場合は、二回、三回と繰り返し行うことができますので、鼓膜に穴があいてしまった場合の治療として、多くの患者さんにおすすめされています。

鼓膜に穴が開いている状態をそのままにしておくと、定期的に耳だれがでてきてしまい、聞こえが少しずつ悪くなってしまいますので注意しましょう。

手技小辞典 」の他の記事を読む

循環器科でわかる心臓マッサージ
心臓発作で突然倒れてしまった人を助けるとき、人工呼吸と心臓マッサージを繰り返すことが良いといわれていましたが、ここ最近では循環器科での心臓マッサージだけでも十分な処置ができることがわかってきました。心...すべて読む
喉頭ファイバーについて
喉頭ファイバーとは、喉頭がんの有無などを調べるための検査方法です。喉頭がんとは、舌の付け根から気管の入り口までの部分に発症するがんであり、呼吸や食物等の飲み込みに障害をきたしてしまうものです。喉頭ファ...すべて読む
マクマレーテストについて
マクマレーテストとは、筋骨格系において機能障害をきたしている部位やその症状を、特に専門的な医療器具を使用せずに手で行う検査のひとつで、主に半月板損傷または断裂のチェックを行うものです。 検査方法として...すべて読む

80記事の「 手技小辞典 」の記事を読む

コラム内から検索

外来アルバイト医師求人特集

EPILOGI検索
pagetop