骨折観血的手術について

骨折観血的手術は、ギプス固定では治癒が難しい複雑な骨折や重度の骨折、関節周辺を骨折した場合に施す外科手術のことをいいます。

1895年にX線が発見され、骨折部分の状態がわかるようになったことで、これまでの外科的手術を施さない非観血的手術に代わって、20世紀のはじめには骨折観血的手術が報告されています。骨折観血的手術は主にヨーロッパで行われ、その後、移植骨を用いて骨を整復する技術が確立されると、1955年以降、次第にアメリカへと広がっていきました。

骨折観血的手術はギプス固定と違い、骨折している部位を切開し、骨を正常な位置に戻した後、ワイヤーやチタンプレート、ネジなどで固定するのが一般的で、通常は全身麻酔で行われるため、患者の状態によってはリスクを伴う場合があり、ギプス固定ではできることがない傷跡が残るのが難点です。

また、関節近くを骨折した場合には関節の変形が起こったり、四肢の変形、骨髄炎、しびれなどの後遺症が残る場合がありますが、この手術は骨折後の骨の短縮や変形を最小限に抑えることができ、骨折後の障害の軽減や治療期間が短縮できるなどの利点があるため、非観血的治療が難しい場合には非常に有効です。

骨折観血的手術には大きく分けて、先の尖ったワイヤーで骨を串刺しにして固定するピンニング法と、患部を切開して骨折部を見ながら骨同士を金属プレートとネジで固定するプレート固定法があります。
現在、手術に使用される固定材料は日々改良が進み、さまざまな部位に対する専用プレートが開発されているほか、特殊な形状をしたネジ山を持つネジが開発されるなど、今後、さらなる改良が期待されます。

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