内視鏡的吸引粘膜切除法 (EAM)
内視鏡的吸引粘膜切除法とは内視鏡で粘膜を引き剥がして吸引する手技で、消化器系(胃、食道、大腸など)の腫瘍性(癌)の治療に用います。EAM(Endoscopic Aspiration Mucosectomy)とも呼ばれています。また、EAMの対象となる病変は胃、食道、大腸で異なりますが、基本的にはリンパ節に転移がなく、手技的に無理がなく一括で切除できる部位にある良性腫瘍と考えられる場合に用いられます。
また、メリットは開腹手術に比べて、身体の負担が少ないため入院期間が短く、大きな合併症などがなければ退院後の日常生活(特に食生活)に支障がありません。切除にかかる時間は約15分~30分ほどで、大腸の場合は日帰り外来で行うことも少なくありません。食道や胃の場合は7日間ほどの入院が必要になります。
逆にデメリットは切除後の組織の状態によっては遺残物が有るかどうか確認することが困難な場合があるため、将来的に再発する可能性があります。また、切除した病変組織の病理結果によっては再度、EAMや他の治療を追加する必要が出てきます。
くびれた病巣や茎を持った病巣はそのくびれた箇所にワイヤーを引っ掛けて高周波の電流で切除することができますが(ポリペクトミー手技)、EAM手技は平らな(平坦な)病巣や凹んでいる病巣を切除してフードの中に吸引する手技です。平坦や凹んでいる病巣はワイヤーが引っ掛からないため、生理食塩液を粘膜下に注入して隆起させて切除部位を持ち上げて、フード内に病巣を吸引してからスネアを出し絞めつけて、スネアに高周波の電流を流して病巣を除去しながらそのまま吸引するという手技です。
「 手技小辞典 」の他の記事を読む

- 循環器科でわかる心臓マッサージ
- 心臓発作で突然倒れてしまった人を助けるとき、人工呼吸と心臓マッサージを繰り返すことが良いといわれていましたが、ここ最近では循環器科での心臓マッサージだけでも十分な処置ができることがわかってきました。心...すべて読む

- 喉頭ファイバーについて
- 喉頭ファイバーとは、喉頭がんの有無などを調べるための検査方法です。喉頭がんとは、舌の付け根から気管の入り口までの部分に発症するがんであり、呼吸や食物等の飲み込みに障害をきたしてしまうものです。喉頭ファ...すべて読む

- マクマレーテストについて
- マクマレーテストとは、筋骨格系において機能障害をきたしている部位やその症状を、特に専門的な医療器具を使用せずに手で行う検査のひとつで、主に半月板損傷または断裂のチェックを行うものです。 検査方法として...すべて読む
80記事の「 手技小辞典 」の記事を読む