腹腔鏡下手術について
腹腔鏡下手術は、おなかを５㎝ほど切ってお腹の中に小さなテレビカメラを入れて行う手術で、テレビモニターを見ながら悪い部分を切り取ります。
そんな、腹腔鏡下手術は1987年に腹腔鏡下胆嚢摘出術がフランスで行われたのが最初で、日本では1990年にはじめて胆嚢摘出が行われ、現在に至るまで全国各地に急速に普及しました。
腹腔鏡下手術は、傷が小さく、痛みが少ない、肺機能の低下が少ない、癒着しにくいので腸閉寒症になりにくいなど、様々な利点が注目されていますが、最大の特徴は、出血量が少なく身体への負担が少ない手術であるということです。
開腹術と比べて術後の腸の動きだしが早く、食事も早く開始できたり、離床も早いので早期退院、社会復帰も可能です。その反面、開腹手術に比べて手術のコストが高かったり、手術時間が約１．５倍と長くかかるというデメリットもあります。また、執刀医の技術の差が出やすく複雑な手術の場合は医師の十分なトレーニングが必要となってくるという問題も存在しています。
腹腔鏡下手術は胃がんや大腸がんをはじめとする悪性疾患から良性の疾患まで今や多くの消化器疾患に幅広く応用されていますが、すべてを腹腔鏡下手術すればよいというものではなく、症状により開腹手術の方がよいとされる場合もあります。
現在のところ、世界中で腹腔鏡下手術が完全に標準となっているのは胆嚢摘出術だけで、欧米では虫垂切除も標準的ですが、日本では未だ標準的とはなっていません。
しかし、疾病の早期発見による病巣の小型化により、10年～20年後には開腹手術の70％を占めるとの予想もあり、これからの主流になりつつあるのです。
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