人工透析(血液透析療法)
透析という言葉が誕生したのは1854年で、ギリシャ語の分離を意味します。そして1913年には初めての人工透析が誕生しました。
しかしながら、その当時はまだ抗凝固剤に大きな問題がありました。1916年以前には副作用やアレルギー反応を多く起こしたヒルジンという抗凝固剤成分しかなく、1916年以降に初めて、哺乳類からの抗凝固剤成分であるヘパリンを分解させ、ついに動物実験を成功させました。
1926年には世界で初めて人工透析を人に対して行いましたが、人工透析による生存者が出たのは1945年のことでした。
その後、1960年代には人工透析によって慢性維持透析での長期生存者が生まれました。そして1964年には在宅血液透析装置が開発され、現在に至るまでさらに進化を遂げたのです。
人工透析はおおきく血液透析と腹膜透析に分かれます。現在の日本国内での慢性透析患者は約22万人いますが、その中でも血液透析を行う方がほとんどで、腹膜透析を行う方は本当に一握りと言われています。
今日の血液透析は、カニューレという2本の管を使い体外に出してダイアライザーを循環させることでろ過をし、再度、体内に戻す方法です。また、その際に血液を1分あたり200ml循環させなければいけないので、腕の静脈と動脈をつなぎ合わせて太くする内シャントという手術を行います。
血液透析は基本的には週に3回、4~5時間かけて行われ、長期にわたって行っていくうちに骨の障害や動脈硬化、心不全などの合併症がでることもあります。しかし現在の日本では20年以上も透析を続け生存している人が1万人以上もおり、中には35年以上続けている方もいます。
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