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タスクシフト/シェアとは?医療現場はどう変わる?職種別の事例も紹介!

タスクシフト/シェアとは?医療現場はどう変わる?職種別の事例も紹介!

2024年4月に施行された「医師の働き方改革」。医師の業務集中を緩和すると期待されているのが、業務を看護師など他の医療従事者へ移管したり、共同で行ったりするタスクシフト/シェアです。この記事では、制度導入の背景やメリット、導入にあたっての課題について、具体的な事例とともに解説します。

目次

1.タスクシフト/シェアとは?

タスクシフト/シェアとは、医師に偏っている業務を看護師や薬剤師などの医療従事者に移管、あるいは共同実施にする取り組みを指します。医療従事者がそれぞれの専門性を活かせるよう業務分担を見直すことで、医療水準を向上させ、医師の負担を軽減させる目的の制度です。
次の章では、タスクシフトとタスクシェアの違いについて説明します。

タスクシフトとは?

医師の業務をコメディカルに移管すること

「医師の業務の一部を他職種に移管することを、タスクシフトと呼びます。
医師の業務には、医師法で「医行為」と定められている領域があり、タスクシフトできるのは相対的医行為にあたる業務です。

医行為 医師の医学的判断をもってするのでなければ人体に危害を及ぼす、または危害を及ぼすおそれのある行為
絶対的医行為 医師以外は行うことができない
相対的医行為 医師の指示のもと、看護師など他職種でも対応可能
研修を受けた看護師は特定行為(38行為21区分)の実施が可能になる

2015年に「特定行為に係る看護師の研修制度」が施行されました。

この制度により、研修を受けた看護師は、医師が事前に示した手順書にもとづいて、医師の判断を待たずに特定行為を実施できるようになりました。

たとえば…

宿日直許可なしの当直明けイメージ

医師の業務の移管先は看護師だけでなく、診療放射線技師や臨床検査技師、臨床工学技士などにも広がっています。2021年の法改正により、臨床検査技師らも事前の研修と医師の指示にもとづいて、以下のような業務が行えるようになりました。

  • 病棟や外来での採血業務(臨床検査技師のみ)
  • 静脈路の確保から薬剤等の投与、投与後の抜針および止血
事務作業など、特定行為以外のタスクシフトも可能

特定行為以外にも、検査の説明やカルテの記入といった事務作業も、タスクシフトが可能です。書類作成等の事務作業を移管することで負担が軽減されると感じる医師は多く、効果が期待される分野です。

タスクシェアとは?

医師の業務を他職種と共同で実施すること

タスクシェアは、特定の業務を複数の職種で分け合うことを指します。

具体的には、薬剤師が患者に聞き取りをして投薬の効果や副作用を把握し、医師に処方の見直しを提案することなどが挙げられます。
通常は医師が患者を診察し、薬剤師に指示する流れが一般的でした。薬剤師が患者に直接症状や薬の効き具合を確認することで、投薬の効果と安全性を高めることが期待されています。
さらに、減薬による薬剤費の削減にもつながる可能性があります。

タスクシフトとタスクシェアの違い

業務に医師が直接関わるかどうか

「タスクシフト」は他職種に業務を移管すること、「タスクシェア」は医師と他職種が共同で業務にあたることを指します。業務の遂行者に医師が含まれているかどうかがポイントになります。

2.タスクシフト/シェアの背景

タスクシフト/シェアは、働き方改革の一環として導入が進められています。背景には、医師の慢性的な長時間労働や過労死の問題があります。医師に集中している業務を移管・共同化することで、負担を軽減(労働時間を削減)することが目的となります。

医師の長時間労働

厚生労働省の令和2年の調査によると、医師の週あたりの労働時間を病院種別ごとに比較した場合、週50~60時間までは大学病院の割合が低くなっています。しかし、週60時間以上では大学病院の割合が高くなっており、大学病院に勤務している医師は長時間労働となる傾向があることがわかります。

病院常勤勤務医の週労働時間の区分別割合 (令和元年 医師の勤務実態調査)
病院常勤勤務医の週労働時間の区分別割合

厚生労働省「令和2年 医師の勤務実態について」

また、週当たり勤務時間が60時間以上の医師について性・年代別の割合を見てみると、いずれの年代でも男性の割合が女性を上回っています。20代では男女間で大きな差は見られませんが、30代〜50代では差が大きくなっています。

週当たりの勤務時間が60時間以上の病院・常勤医師の割合
週当たりの勤務時間が60時間以上の病院・常勤医師の割合

医師が長時間労働になる要因として、次のようなものが挙げられます。

  • 救急搬送などを含めた急患への対応
  • 長時間にわたる手術
  • 外来患者の多さ
  • 事務作業の多さ
  • 患者都合による診療時間外での対応
  • 診療時間外の看取り対応

特に診療時間外の対応に関して、医師は患者から診察を求められた場合、正当な理由なしに拒むことができません。医師法でいわゆる「医師の応召義務」が定められているためです。これが労働時間の逼迫の大きな要因となっています。

また、高齢患者の増加や治療技術の進歩による手技の複雑化といった変化から、医師の負担は今後も増加することが予想されます。
このような事態を解決すべくはじまった取り組みが「医師の働き方改革」です。

「医師の働き方改革」

医師の労働時間を削減し、負担を軽減

「医師の働き方改革」により、これまで制限が無かった時間外労働に対して上限が設けられました。時間外労働の上限規制の内容について、下の図にまとめました。

原則 月45時間 年360時間以内
上限 月100時間未満(例外あり)
年960時間以内
努力義務 連続勤務時間制限28時間
勤務間インターバル9時間
代償休息

※地域医療の確保や技能習得のため長時間勤務が必要となる勤務医に対しては、特定水準(年1,860時間)が設けられる。

厚生労働省が2019年に実施した「医師の勤務実態調査」によると、男性医師の約4割、女性医師の約3割が月80時間以上(過労死ライン)の時間外労働をしています。

月80時間以上の時間外労働が続くと健康被害のリスクが高まるとされており、長時間労働が医師の心身の健康に与える悪影響が懸念されてきました。

今回示された上限は過労死ライン上にあるものの、医師の時間外労働を制限する初の規定です。「医師の働き方改革」を本格的に進めるための起点として期待されています。

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厚生労働省によるタスクシフト/シェアの推進

タスクシフト/シェアを医療機関全体で取り組む必要がある

厚生労働省は「医師の働き方改革を進めるためのタスクシフト/シェアの推進に関する検討会」の報告書で、「医療機関全体としての効率化や、他職種も含めた勤務環境の改善に取り組むことが不可欠である」と述べています。

新制度や各職種の役割分担について議論を継続

さらなるタスクシフト/シェア推進のため、厚生労働省による「医師の働き方改革に関する検討会」では、医師の指示なく一定レベルの診断・治療ができる看護師資格の導入を検討するよう求める指摘もありました。

厚生労働省は、各医療従事者が自らの能力を活かし、より能動的に対応できる仕組みを整えるため、さらに議論を深めていく姿勢を示しています。

3.タスクシフト/シェアを導入するメリット

では具体的に、タスクシフト/シェアによってどのようなメリットが得られるのでしょうか。改めて整理してみます。

タスクシフト/シェアを導入するメリット

医師の業務負担が軽減される

一つ目のメリットは、医師の業務負担が軽減されることです。

医師の業務を他職種へ移管したり、共同化したりすることで、医師に集中している業務が分散され、負担が軽減されます。

人材不足を解消できる

二つ目は、人材不足の解消です。

これまで医師が行っていた業務を他職種に分散させることで、医師が診療に集中でき、医師の人材不足を解消することができます。タスクシフト/シェアが進んでいくことで、職種間の連携力が強化され、少ない人数で多くの業務を遂行することが可能となります。

医療の質を高める

三つ目は医療の質の向上です。

医師の業務負担が軽減されることで、医師の健康状態が改善され、より質の高い医療提供につながります。また、投薬治療を薬剤師と共同化するといった例など、より専門性の高い医療の提供も可能となります。

話し合いや勉強会を経て連携強化

4.タスクシフト/シェアできる業務と職種の具体例

タスクシフト/シェアが推進されている業務を表にまとめました。
どのような業務が推進されているのでしょうか。

職種 具体的な業務内容
看護師 ・特定行為(38 行為 21 区分)の実施
・事前に取り決めたプロトコールに基づく薬剤の投与、採血・検査の実施
・救急外来における医師の事前の指示や事前に取り決めたプロトコールに基づく採血・検査の実施
・血管造影・画像下治療(IVR)の介助
・注射、採血、静脈路の確保等
・カテーテルの留置、抜去等の各種処置行為
・診察前の情報収集
薬剤師 ・周術期における薬学的管理等
・病棟等における薬学的管理等
・事前に取り決めたプロトコールに沿って行う処方された薬剤の投与量の変更等
・薬物療法に関する説明等
・医師への処方提案等の処方支援
・糖尿病患者等における自己注射や自己血糖測定等の実技指導
診療放射線技師 ・撮影部位の確認
・検査オーダーの代行入力等
・画像誘導放射線治療(IGRT)における画像の一次照合等
・放射線造影検査時の造影剤の投与、投与後の抜針・止血等
・血管造影・画像下治療(IVR)における補助行為
・病院又は診療所以外の場所での医師が診察した患者に対するエックス線の照射
・放射線検査等に関する説明、同意書の受領
・放射線管理区域内での患者誘導
・医療放射線安全管理責任者
臨床工学技士 ・心臓・血管カテーテル検査・治療時に使用する生命維持管理装置の操作
・人工呼吸器の設定変更
・人工呼吸器装着中の患者に対する動脈留置カテーテルからの採血、喀痰等の吸引
・人工心肺を施行中の患者の血液、または、血液浄化装置を操作して行う血液、補液及び薬剤の投与量の設定及び変更
・血液浄化装置のバスキュラーアクセスへの接続を安全かつ適切に実施する上で必要となる超音波診断装置によるバスキュラーアクセスの血管径や流量等の確認
・全身麻酔装置の操作
・麻酔中にモニターに表示されるバイタルサインの確認、麻酔記録の記入
・全身麻酔装置の使用前準備、気管挿管や術中麻酔に使用する薬剤の準備
・手術室や病棟等における医療機器の管理
・各種手術等において術者に器材や医療材料を手渡す行為
・生命維持管理装置を装着中の患者の移送
助産師 ・院内助産
・助産師外来
理学療法士 ・リハビリテーションに関する各種書類の記載・説明・書類交付
作業療法士 ・リハビリテーションに関する各種書類の記載・説明・書類交付
・作業療法を実施するに当たっての運動、感覚、高次脳機能(認知機能を含む)、ADL 等の評価等
その他職種にかかわらずタスク・シフト/シェアを 進めることが可能な業務 ・診療録等の代行入力
・各種書類の記載(医師の最終確認または署名が条件)
・医師が診察をする前に、医療機関の定めた定型の問診票等を用いて、診察する医師以外の者が患者の病歴や症状などを聴取する業務

厚生労働省「現行制度の下で実施可能な範囲におけるタスク・シフト/シェアの推進について」

5.タスクシフト/シェア導入の課題

タスク・シフト/シェアは医師や患者にとってメリットも多いですが、導入に向けて解決しなければならない課題もあります。大きく次の3つに分けて解説します。

タスクシフト/シェアのデメリット

スキル習得のため人材育成が必要

1つ目の課題は、コメディカルの育成環境を整える必要があることです。

分担する業務が医療行為である以上、研修では厳密な指導が求められます。育成フローを統一し、業務の質にバラつきが出ないよう対策することが必要となります。

現状、特定行為研修は地域によっては年数回しか開催されず、定員枠が少ない状況です。さらに、研修の費用負担や通常業務との両立の難しさ、そもそも他職種自体の労働環境の改善が必要であることなど、人材育成には複数の課題があります。

人材が不足している

2つ目は、そもそもタスクシフト/シェアされる側であるコメディカルの人材不足が挙げられます。

厚生労働省は、看護師の特定行為研修について、2025年までに10万人以上の養成を目標としています。
しかし、令和5年9月時点で研修を修了した看護師数は8820人となっており、医師の負担軽減に協力するための余力が十分にあるとはいいきれません。

コメディカルの業務負担が増える

3つ目は、タスクシフト/シェアされる側の職種に業務が集中してしまう可能性があることです。

医師の業務をそのまま移管してしまうと、今度はコメディカルに大きな負担がかかってしまいます。これでは負担が医師からコメディカルに移るだけで、根本的な解決にはならないおそれがあります。

医師とコメディカルの間だけでなく、医療機関全体で業務の効率化や分担体制の見直しを進めて、それぞれの業務集中を緩和できる仕組みをつくることが必要です。

6.まとめ

この記事では、タスクシフト/シェアについて解説しました。

現状は医師と協働するコメディカル側の体制が整っていないなど、改善しなければならない点もありますが、タスクシフト/シェアは医師の負担軽減のために必要な取り組みといえます。

今後もタスクシフト/シェアの効果を高めるために議論が進んでいくことが予想されますので、医師の方は最新情報を随時チェックしましょう。

  • すべての医療専門職が、それぞれの専門性を生かし、パフォーマンスを最大化することが大切です。
  • 専門性を生かした効率化が進めば、より質の高い医療提供にもつながります。
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<参考文献>

ライター写真 ライター 医師マーケティング部
編集担当
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