医師が当直アルバイトをするメリット・デメリットと働き方改革で受ける影響

地域の入院医療や救急医療を提供する上で欠かすことのできない医師の当直勤務。当直は夜間のため、アルバイト医師を頼りにする医療機関は多く存在します。一方、日中忙しい医師にとっても、当直アルバイトは貴重な収入源の一つとなっています。
そこで、今回はメディウェルで2023年7月に実施した当直アルバイトに関する医師向けアンケート(当直アルバイトの希望をいただいたことのある医師会員対象)から、当直アルバイトのメリット・デメリットや、宿日直許可に関する認識、医師の働き方改革で当直アルバイトが受ける影響などについて見ていきます。
医師の当直アルバイト勤務に関する561名のアンケート調査結果
医師の当直勤務状況
まず、今回アンケートにお答えいただいた先生方のうち、当直勤務をしている医師・していない医師の割合は下表のようになりました。

当直をしている医師の勤務状況
当直勤務をしている医師について、常勤先・非常勤先それぞれでの勤務状況は下表のようになっております。

医師が当直アルバイトをする理由
当直アルバイトをしている医師に対して、当直アルバイト勤務をする理由を選択式で質問したところ、結果は下表のようになりました。

「収入の確保・増加」が91.7%と最も多い結果となっています。他には「医局や勤務先・知人からの要請」(24.2%)や「地域医療への貢献」(15.0%)なども比較的多くなっており、一定数の医師は収入以外の理由からも当直アルバイト勤務をしていることが読み取れます。
医師が当直アルバイト先を
選ぶ時に重視するポイントは?
当直アルバイトをしている医師に対して、当直アルバイト先を選んだ理由を選択式で質問したところ、結果は下表のようになりました。

「給与が高い」が51.0%と最も多い一方で、「ゆったり働ける」(44.3%)なども比較的多くなっており、この結果を踏まえても、一定数の医師は収入以外の理由からも当直アルバイト勤務をしていることが読み取れます。
医師が当直アルバイトをする頻度
当直アルバイトをしている医師に対して、現在の当直アルバイト頻度を週に換算した場合何回になるのか質問したところ、結果は下表のようになりました。

週2回までの回答が全体の約8割を占めており、平均は週1.1日、中央値は週1.0日となりました。
常勤先での当直、どれぐらいの医師がしている?
当直アルバイトをしている医師・していない医師にそれぞれ常勤先での当直有無を質問したところ、結果は下表のようになりました。

常勤先で当直勤務をしている割合は、当直アルバイトをしている医師が約62%だったのに対して当直アルバイトをしていない医師は約45%と、当直アルバイトをしている医師の方がしていない医師よりも、常勤先でも当直をしている割合が高くなりました。
当直アルバイトをしている医師の、
常勤先での医師の当直頻度
また、当直アルバイトをしている医師に、常勤先での当直勤務の頻度を選択式で質問したところ、結果は下表のようになりました。

約86%の医師が週2回までと答える中で、週2回以上の医師も一定数いるようです。また、平均値は週1.1日、中央値は週1.0日と、アルバイトにおける当直勤務の頻度とほぼ同等でした。この結果から、当直勤務をする医師においては、常勤先、アルバイト先をあわせると週2回ほど当直勤務をする医師が多いということがわかります。
医師が当直アルバイトをするメリット
アンケート結果を踏まえ、当直アルバイトのメリットをまとめました。
収入が増える
- 日中の予定にあまり左右されず、まとまった時間で一気に勤務をして収入を得られる当直アルバイトは、収入アップを希望される医師には人気な働き方です。特に「給与が高い」求人は人気があり、選ばれやすく募集枠がすぐに埋まってしまう場合もあります。
ゆったり勤務や寝当直の求人を選べる
- アンケート結果にもありましたが「ゆったり勤務」が人気です。「寝当直」は1回も呼びだされない場合でも規定のアルバイト代が支給されます。
日中のスケジュールに影響が出ない
- 当直アルバイトは深夜帯の勤務ですので、日中の勤務やプライベートの予定など「外せないスケジュール」の調整が不要です。勤務日に関しては「月1回、週1回など、自分の希望する日」を選ぶ医師が多いです。日中のアルバイトより残業が少なく、決まった時間内で働けるので「この金額を稼ぎたい」「急な出費があるときだけ稼ぐ」などの調整も行いやすく働きやすいようです。
医師が当直アルバイトをするデメリット
体力的に余裕がなくなる
- 当直アルバイト勤務は夜間の勤務になるので、夜に自宅で眠る健康的で規則正しい生活が崩れてしまうデメリットがあります。
呼び出しがあった場合対応しなければならない
- 呼び出しに対応しなければならず、なかなか眠れないという点も、デメリットとなります。
宿日直許可の有無による
医師の当直アルバイトへの影響
勤務先での宿日直許可申請の状況
今回いただいた医師562名の回答のうち、宿日直許可申請の対象となる施設でご勤務の方からの回答数は全体の58.4%となりました。そのうち、現在の勤務先の宿日直許可申請の状況を選択式で質問したところ、結果は下表のようになりました。

内訳としては「申請あり(取得済み)」が53.4%。「申請あり(未取得)」が12.8%。これを合わせると66.2%。また「申請なし」は33.8%となっており、半数以上の医療機関が宿日直許可申請を行っておりました。
今後の当直アルバイト勤務探しに対して宿日直許可をどの程度考慮するかを選択式で質問したところ、結果は下表のようになりました。

「さほど気にならない」が38.1%と最も多い結果となっていますが、「未取得の場合は勤務先の候補から外れる」「考慮して求人を探すが、未取得でも候補からは外れない」の医師も合計すると32.9%と、宿日直許可の有無を考慮してアルバイト先を探される先生も一定数いらっしゃるようです。「まだわからない」も29.5%と比較的多くなっており、2023年夏時点では、これから情報収集を開始される先生も多いことが読み取れます。
医師の働き方改革が
当直アルバイトに与える影響
アンケート結果によると、宿日直許可申請を行っていない施設が19.8%ありました。宿日直許可申請を行っていない医療機関の場合、2024年4月以降「当直を労働時間から除外することができません」。仮に寝当直だった場合も、宿日直許可を受けていなければ「労働時間としてカウントされる」点には注意が必要でしょう。
医師の働き方改革が開始される2024年4月以降は、アルバイト先での労働時間も含めて上限規制の対象となり、上限を超えそうな場合には勤務を減らす必要が出てくることもあります。こうなると収入が減少する場合もございます。
医師にとって手軽な収入源となってきた当直アルバイト勤務ですが、今後は勤務先によっては総労働時間への換算の都合上、控えないといけないケースも出てくると考えられます。宿日直許可の有無を含め、自身の条件に合うアルバイト先の情報を収集するなら、メディウェルのアルバイト支援サービスを是非ご活用ください。

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