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勤務医と育児の両立に役立つ制度~時短勤務・残業免除~【荒木弁護士解説】

勤務医と育児の両立に役立つ制度~時短勤務・残業免除~【荒木弁護士解説】

育休取得したい男性医師が知っておきたい 育児休業・産後パパ育休制度【荒木弁護士解説】では、男性医師の育児休業・産後パパ育休制度について解説しました。 今回の記事では、勤務医と育児の両立を支援する制度について解説します。2025年8月1日時点の情報です。

育児と仕事の両立を支援する制度については、頻繁に改正され年々拡充されていることに加え、職場が独自に法律を上回る支援制度を設けている場合もあるので、最新の情報を確認することと職場にも制度を確認することが重要です。

そして、職場自体が、勤務医、特に男性医師の制度の利用について慣れていない場合も多いので、早めに確認して職場と調整することも重要です。

子どもが生まれてから利用できる育休関連制度についての全体像

(1)所定労働時間の短縮措置(短時間勤務制度)について

いわゆる時短勤務と呼ばれる短時間勤務制度について説明します。

対象者

  • 3歳未満の子(注1)を養育する以下の要件を満たす労働者が対象です。

    1. ①1日の所定労働時間(注2)が6時間以下でないこと
    2. ②日々雇用される者(いわゆるスポット勤務)でないこと
    3. ③短時間勤務制度が適用される期間に現に育児休業(産後パパ育休含む)をしていないこと
    4. ④労使協定により適用除外とされた以下の労働者でないこと(注3)
      • 入職後1年未満の労働者
      • 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
      • 業務の性質又は業務の実施体制に照らして、短時間勤務制度を講ずることが困難と認められる業務に従事する労働者(指針第2の9(4))

(注1)育児・介護休業法に基づく短時間勤務制度の適用期間は、子が3歳になる誕生日の前日までです。3歳以上の子を養育する労働者に対しての短時間勤務制度は、事業主の「努力義務」であるため、職場の制度を確認しましょう。

(注2)所定労働時間とは、雇用契約や就業規則において定められている労働時間のことです。例えば、始業時刻が8時30分、終業時刻が17時、休憩時間が1時間の場合、1日の所定労働時間は、7時間30分となります。

(注3)④に該当する場合は、労使協定により、短時間勤務の対象から除外されていないか、職場に確認しましょう。

短時間勤務の内容

  • 短時間勤務制度は、1日の所定労働時間を原則として6時間(注4)とする措置を含むものとなります。(則第74条第1項)。

    (注4)原則として6時間というのは、通常の所定労働時間が7時間45分である事業所において短縮後の所定労働時間を5時間45分とする場合などを勘案し、短縮後の所定労働時間について、1日5時間45分から6時間までを許容する趣旨です。

  • なお、育児・介護休業法に基づく、時短勤務の1日の所定労働時間は、原則として6時間ですが、事業主が独自に1日の所定労働時間を7時間としたり、隔日勤務等の所定労働日数を短縮する措置など所定労働時間を短縮する措置を設けることも可能です。

  • 職場の就業規則や人事担当者に確認するなどして、職場の時短勤務制度も確認しておくことが大切です。

法律に基づく短時間勤務制度と職場独自の時短制度

(2)【2025年10月施行】柔軟な働き方を実現するための措置義務

さらに、柔軟な働き方をしながらフルタイムで勤務することを支援する措置として、2025年10月から事業主に3歳から小学校就学前の子を養育する労働者に対して柔軟な働き方を実現するための措置を講ずることが義務付けられます。

柔軟な働き方を実現するための措置義務の内容

  • 事業主は、3歳から小学校就学前の子を養育する労働者に関して、以下の措置の中から、2つ以上の措置を選択して講じなければなりません。

  • 職場でどのような措置が導入されるか確認してください。

    1. ①始業時刻等の変更の措置(注5)
    2. ②在宅勤務等の措置
    3. ③育児のための所定労働時間の短縮措置(注6)
    4. ④就業しつつ子を養育することを容易にするための休暇(以下「養育両立支援休暇」といいます。)を与えるための措置(注7)
    5. ⑤保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与(則第75条の4)

(注5)始業時刻等変更の措置の内容は、以下になります。
・フレックスタイム制
・1日の所定労働時間を変更することなく、始業又は終業の時刻を繰り上げ又は繰り下げる制度(時差出勤の制度)

(注6)育児のための所定労働時間の短縮措置は、3歳未満の子を養育する労働者を対象とする(1)所定労働時間の短縮措置(短時間勤務制度)についてと同様の内容です。

(注7)養育両立支援休暇は、具体的な休暇の用途を限定しないものとして、時間単位で取得することができるものである必要があります。
なお、法律上は、「無給」でも問題ありませんが、事業者が独自に法を上回る措置として、「有給」とすることも可能です。

職場で、養育両立支援休暇が導入された場合は、無給か有給か確認しておきましょう。

(3)所定外労働、時間外労働、深夜労働の制限

所定外労働の制限(残業免除)【2025年4月から小学校就学前の子を養育する労働者に拡大】

  • 事業主は、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が請求した場合においては、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、所定労働時間を超えて労働させてはいけません。つまり、残業が免除されます。ただし、日々雇い入れられる者は対象外です。

  • 以下の労働者について、所定外労働の制限を請求することができないこととする労使協定がある場合には対象外とすることができるため、該当する場合は、就業規則や職場の担当者に確認しましょう。

    • 入職後1年未満の労働者
    • 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
  • なお、2025年4月1日から請求可能な労働者の範囲が、3歳未満の子を養育する労働者から小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に拡大されています。

  • 所定外労働の制限(残業免除)の制度を利用するためには、労働者による所定の請求が必要です。

  • 管理職の場合:
    管理職のうち、労働基準法第41条第2号に定める管理監督者については、同法で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定が適用除外されていることから、所定外労働の制限(残業免除)の対象とはなりません。

時間外労働の制限

  • 事業主は、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が、その子を養育するために請求した場合においては、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、1か月について24時間、1年について150時間を超える時間外労働をさせてはいけません。

  • 以下の労働者については請求できません。なお、職場によって法を上回る制度が拡充されている場合もありますので、法律上は対象外でも職場の制度も合わせて確認してください。

    • 入職後1年未満の労働者
    • 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
  • 有期雇用・非常勤医師、アルバイト医師の場合:
    有期雇用、非常勤、アルバイトの医師でも、日々雇入れられる者、入職後1年未満、週の所定労働日数が2日以下といった、制度が適用されない場合に該当しない限り、時間外労働の制限の権利が認められます。

時間外労働の制限の制度を利用するためには、労働者による所定の請求が必要です。

深夜業の制限

  • 事業主は、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が、その子を養育するために請求した場合においては、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、午後10時から午前5時までの間(以下「深夜」といいます。)において労働させてはなりません。

  • 以下の労働者は対象外です。なお、職場によって法を上回る制度が拡充されている場合もありますので、法律上は対象外でも職場の制度も合わせて確認してください。

    • その事業主に継続して雇用された期間が1年に満たない労働者
    • 深夜においてその子を常態として保育できる同居の家族がいる労働者
    • 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
    • 所定労働時間の全部が深夜にある労働者

有期雇用、非常勤、アルバイトの医師でも日々雇入れられる者や上記対象外の労働者など制度が適用されない労働者に該当しない限り、深夜業の制限の権利が認められます。

妊産婦の時間外労働、休日労働、深夜業の制限について

妊産婦についても法律上深夜業等が制限されていますので、紹介いたします。

妊産婦(妊娠中及び産後1年を経過しない女性)が請求した場合には、事業主は、時間外労働、休日労働、深夜業をさせることができません。(労働基準法第66条第2項、第3項)

時間外労働は、法廷労働時間(1日8時間、1週間40時間)を超える労働
休日労働は、法定休日の労働
深夜業は、午後10時から午前5時までの間の就業
をそれぞれ指します。

妊産婦が請求することが必要です。アルバイト、非常勤など雇用形態や入職後の期間に関係なく請求することができます。

育児時間(労働基準法第67条)

生後満1年に達しない生児を育てる女性は、休憩時間のほか、1日2回各々少なくとも30分、その生児を育てるための時間を請求することができます。

生後1歳未満の子を養育する女性労働者が対象です!

休憩時間と異なり、労働時間の途中に与えるという制約もないため、始業時刻からまた就業時刻まで請求することも可能であり、出勤を遅らせたり退勤を早めたりすることが可能です。

もっとも、育児時間(労基法第67条)を有給扱いにするか、無給扱いにするかは、使用者(医療機関)が決められますので、就業規則等の職場のルールを確認して有給扱いか無給扱いか把握したうえで利用を検討しましょう。

いかがでしょうか。育児と仕事の両立を支援する制度は、頻繁に改正され、拡充されています。 また、職場において、法を上回る制度が独自に導入されている場合もあります。

最新の法令と職場の制度を確認することが重要です。

<参考資料>

弁護士 荒木 優子
https://araki-law.com/
第二東京弁護士会所属。勤務医の労務問題やクリニック運営に関する法律相談などが専門。医師の労働問題に関してSNSやメディアで日常的に発信し、X(旧Twitter)でのフォロワー数は1.2万人以上。

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