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<医道審議会>医師法違反でどれぐらいの医業停止になる?医師の不祥事の具体例と処分の内容について【荒木弁護士解説】

<医道審議会>医師法違反でどれぐらいの医業停止になる?医師の不祥事の具体例と処分の内容について【荒木弁護士解説】

<医道審議会>医師が免許取消や医業停止になるケースとは?医師の不祥事の行政処分の法的根拠と基準【荒木弁護士解説】では、医師に対する医業停止などの行政処分の法的根拠と基準等について解説しました。

今回はさらに、医道審議会にて処分が決定された具体的な違反行為の事例と処分内容について、厚労省へ照会を行い調査しましたのでその結果を紹介します。

行政処分の原因となった法律違反行為については、その内容に応じて次の6つの類型に分類しました。

違反の類型 法律名・罪名 違反行為の具体例
医療及び薬の安全等に関する法律違反 医師法、歯科医師法、再生医療安全確保法、診療放射線技師法、薬機法、保健師助産師看護師法 無資格者への医業指示、無診察での診断書交付、未届での再生医療提供、未承認医薬品の広告・輸入、無免許者への放射線照射指示など
医療事故 業務上過失致傷、業務上過失致死 薬剤の投与量のミス、体内へのガーゼ遺残、空気塞栓の発生、カテーテルの誤挿入など
経済犯 診療報酬の不正請求、脱税 詐欺罪、健康保険法、法人税法、所得税法、政治資金規正法 診療報酬の不正請求(架空請求)、所得隠しによる脱税、公的助成金の詐取、政治資金収支報告書の虚偽記載など
薬物に関連する犯罪 覚醒剤取締法、麻薬及び向精神薬取締法、大麻取締法等 覚醒剤・大麻・麻薬の所持、譲渡、自己使用など
交通事故 道路交通法違反等 道路交通法違反、過失運転致傷、過失運転致死傷 人身事故、酒気帯び運転、速度超過、無免許運転、救護義務違反、報告義務違反等
刑法犯(暴行、傷害、強制わいせつ、窃盗、住居侵入等) 児童ポルノ法、迷惑防止条例違反、ストーカー規制法違反等 刑法(傷害、暴行、強制わいせつ、窃盗、収賄)、児童ポルノ禁止法、迷惑防止条例、ストーカー規制法 暴行・傷害・強制わいせつ、盗撮、児童買春、ストーカー行為、窃盗、住居侵入等

医師及び歯科医師に対する2019年以降の処分事例のうち、医師法等の医療に関する法律違反の事例について具体的な違反行為の態様を7件紹介します。

(1)理事長を務める医師が無資格者の事務員に指示して患者に対して医療脱毛を行わせた事例

保健師助産師看護師法違反

医療機関の理事長を務める医師が、医療機関に勤務する事務員ら4名に対して、当該事務員らが看護師及び准看護師の免許がないにも関わらず、医師による指示の下、患者に対して医療脱毛行為を行わせ診療の補助をさせた。

司法処分の内容

懲役6月、執行猶予3年
罰金50万円

行政処分の内容、効力発生月

医業停止6月、2022年7月

(2)理事長を務める医師がエステサロンの経営者に対して販売先が医療機関に限定されていた管理医療機器の購入の名義貸しをした事例

医師法違反ほう助

医療機関の理事長を務める医師がエステサロンで使用する目的で販路が医療機関に限定されていた管理医療機器を医療機関の名義で購入してエステサロンにおいて管理医療機器を用いて皮膚表面のしみ、しわを改善するなどの医行為を行うという医師法違反行為を容易にさせてほう助した。

司法処分の内容

罰金50万円

行政処分の内容、効力発生月

医業停止2月、2019年12月

この事例ではないですが、非医師オーナーのクリニックにおいて、医師が名義を貸すことは、第三者に対して債務を負担するという経済的リスクにとどまらず、刑事及び行政上の処分を受けるリスクもあることが分かると思います。

(3)クリニックの開設者兼管理者の医師が、無診療で処方箋を交付した事例

医師法違反

クリニックの開設者兼管理者であった医師が看護師と共謀してクリニックにおいて患者に対して医師が診療をしないで処方箋を交付した。

司法処分の内容

罰金30万円

行政処分の内容、効力発生月

医業停止2月、2025年8月

(4)医師が無資格者と共謀して、無資格者が入所者に対して喀痰吸引や経管栄養の医行為を行った事例

医師法違反

医師が医師免許、看護師免許等を有さず、認定特定行為業務従事者の認定を受けていない無資格者と共謀して、無資格者が80代の入所者に対して、喀痰吸引や経管栄養の医行為を行い、医師でないのに医業を行った。

司法処分の内容

罰金30万円

行政処分の内容

医業停止3月、2022年10月

(5)嘱託医を務める医師があらかじめ作成した死亡診断書に看護師が死亡日時等を記入して親族に交付し、診療せずに死亡診断書を作成した事例

医師法違反

医療機関の院長を務め、看護ステーションと特別養護老人ホームの嘱託医を務める医師が、

①看護ステーションの看護師と共謀して医師があらかじめ死因等を記載して作成しておいた診断書に看護師が死亡日時を記入した診断書を患者の親族に交付した。
②特別養護老人ホームの看護師と共謀して医師があらかじめ死因等を記載して作成しておいた診断書に看護師が死亡日時を記入した診断書を患者の親族に交付した。

①②により、医師が自ら診療しないで死亡診断書を交付した。

司法処分の内容

罰金30万円

行政処分の内容

医業停止3月、2024年6月

(6)院長を務める医師が無資格者と共謀して無資格者にレントゲン装置を使用して放射線を照射した事例

診療放射線技師法違反

院長を務める医師が医師、歯科医師及び放射線技師ではない無資格者と共謀して、患者に対して無資格者がレントゲン装置を使用して放射線を照射し、医師等でないのに放射線を人体に照射することを業とした。

司法処分の内容

罰金50万円

行政処分の内容

医業停止3月、2022年10月

(7)厚生労働大臣に提供計画を提出せず、脳性麻痺の治療等の目的で他人の臍帯血移植を実施した事例

再生医療等の安全性の確保等に関する法律違反

医療機関の管理者を務める医師が、他者と共謀の上、第一種再生医療等に該当する他人間の臍帯血移植を実施するにあたり、第一種再生医療等提供計画を厚生労働大臣に提出することなく、患者4名に対し、脳性麻痺等の治療の目的で、冷凍保存された他人の臍帯血を投与した。

司法処分の内容

懲役1年
執行猶予2年

行政処分の内容

医業停止1年

いかがでしたでしょうか。
2019年以降の医師に対する行政処分のうち、医師法違反等の医療や医療安全に関する法令違反の事例について、具体的な違反行為の内容、司法処分の内容及び行政処分の内容を取り上げました。

まず、知っておいていただきたいのが、医師に対する行政処分に先行して、司法処分が行われており、刑事事件で有罪の判決が確定しています。

厚生労働省が公表している医師及び歯科医師に対する行政処分の考え方についてに記載されているとおり、医師に対する行政処分の程度は、基本的には司法処分の量刑などを参考に決定されていまずが、医療に関する法令に違反する場合には重く処分されるとしています。

今回の記事では、医師に対する行政処分について過去の事例を調査し、その中でも医療に関する法令違反に問われた事例について具体的な違反行為の内容を紹介いたしました。

弁護士 荒木 優子
https://araki-law.com/
第二東京弁護士会所属。勤務医の労務問題やクリニック運営に関する法律相談などが専門。医師の労働問題に関してSNSやメディアで日常的に発信し、X(旧Twitter)でのフォロワー数は1.2万人以上。

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